BCP完成度診断|既存BCPの点検と改善提案

BCPは作りました。でも、このままで大丈夫でしょうか

介護・障害福祉の事業所では、令和6年4月から業務継続計画(BCP)の策定が完全に義務化されました。多くの施設で、期限に間に合わせる形で1冊が仕上がっています。その一方で、こんなご相談が増えました。

  • ダウンロードした雛形の文言が、そのまま残っている
  • 作った職員が退職し、中身を説明できる人がいない
  • 作成から2年以上が経ち、法令や気象情報の呼び名が変わったらしい
  • 職員名簿・連絡先・備蓄品の数量が、今の施設と合っていない
  • 訓練で一度も使ったことがなく、当日に開く場面が想像できない

BCPは、あることが目的の書類ではありません。災害の当日に開いて、書いてあるとおりに動ける状態になっていて、初めて働きます。「作った」と「使える」の間には、思っているより距離があります。

そのままにしておくと、どうなるか

減算は「基準を満たさない事実が生じた時点」まで遡ります

業務継続計画未策定減算は、感染症・災害のいずれか、または両方のBCPが未策定で、かつその計画に従った必要な措置が講じられていない場合に適用されます(厚生労働省Q&A 問164)。減算率は、施設・居住系サービスが所定単位数の100分の3、その他のサービスが100分の1です。

気をつけたいのは、適用される期間です。同 問166は、「行政機関が運営指導等で不適切な取り扱いを発見した時点ではなく、『基準を満たさない事実が生じた時点』まで遡及して減算を適用する」としています。示された例では、通所介護事業所が令和7年10月の運営指導で未策定と判明した場合、令和7年10月からではなく令和6年4月からが減算の対象です。指摘を受けた月からの話ではありません。

施行時期はサービスの類型で分かれます(同 問165)。

施行時期 主なサービス
令和6年4月 通所介護、短期入所生活介護・療養介護、特定施設入居者生活介護、認知症対応型共同生活介護、小規模多機能型居宅介護、介護保険施設4類型 ほか
令和6年6月 通所リハビリテーション、介護予防通所リハビリテーション
令和7年4月 訪問系サービス全般、福祉用具貸与、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、居宅介護支援、介護予防支援 ほか

居宅療養管理指導と特定福祉用具販売(介護予防を含む)には、この減算は適用されません。

なお、BCPの周知・研修・訓練・定期的な見直しの実施は、減算そのものの算定要件ではありません(同 問164)。ただし運営基準上の義務であることに変わりはなく、やっていなければ運営指導で指摘を受けます。ここは混同しやすいところです。

令和8年5月29日から、防災気象情報の体系が変わりました

気象庁は令和8年5月29日から、新たな防災気象情報の運用を開始しました。情報の名称そのものに警戒レベルの数字が付き、レベル2は「注意報」、レベル3は「警報」と統一されています。従来の大雨警報は「レベル3大雨警報」になりました。

BCPにとって影響が大きいのは、名前が変わっただけではない部分です。

  • 気象台が市町村ごとに発表していた洪水警報・洪水注意報の発表は行われなくなりました。河川氾濫は洪水予報河川ごとの「レベル3氾濫警報」等で、それ以外の河川と浸水害は大雨に関する情報で扱われます
  • 従来の土砂災害警戒情報は「レベル4土砂災害危険警報」に変わりました
  • 「レベル3土砂災害警報」は発表基準が見直され、従来の大雨警報(土砂災害)より発表が絞られました。まもなくレベル4に至る可能性が高い状況で発表されます

ここが要点です。「大雨・洪水警報が出たら警戒体制へ移行する」と書いたBCPは、引き金にしていた情報そのものが発表されない形になりました。「土砂災害警戒情報で参集」と書いたBCPは、その名称がもう実在しません。逆に「大雨警報(土砂災害)で待機開始」としていた施設は、レベル3土砂災害警報の発表が絞られたぶん、実質的に初動が遅くなることも考えられます。名称を置き換えるだけでは足りず、引き金そのものを組み直す必要があります。

BCP完成度診断で見る6つの観点

お預かりした書類一式を、次の6つの観点で1項目ずつ点検します。

観点 見るところ
1 ガイドラインの必須項目 厚生労働省のBCP作成ガイドラインと突き合わせ、抜けている章、空欄のまま残っている表を洗い出します
2 施設の実態との整合 職員名簿、指揮命令系統、参集区分、備蓄品の数量、設備、代替施設。書いてある内容が今の施設と一致しているかを見ます
3 法令・気象情報体系への対応 令和8年5月29日からの防災気象情報の新体系、災害対策基本法をはじめとする改正の反映状況を確認します
4 数値・日付・相互参照の整合 本編・ダイジェスト・様式・フローチャートの間で、人数・時間・連絡先・優先業務が食い違っていないかを突き合わせます
5 研修・訓練との接続 机上訓練のシナリオがそのまま起こせるか。当日この書類を開いて指示が出せるか。訓練で使えない書類は、災害の当日も使えません
6 様式類の実用性 安否確認シート、被害状況チェックリスト、連絡網。紙で配れる形か、書き込んで意味のある項目かを見ます

結果は改善提案書にまとめ、「すぐ直す」「次の見直しで直す」「現状のままで問題なし」の3つに仕分けしてお渡しします。

料金と進め方

BCP完成度診断は55,000円(税別)です。施設の規模や事業所数による変動はありません。

手順 内容
1 資料のお預かり BCP本編・ダイジェスト・様式・訓練記録など、お手元にあるものをデータまたは写しで
2 診断 6つの観点で点検します。目安は2週間程度です
3 改善提案書の納品 指摘と改善案を1件ずつ記載した提案書をお渡しします
4 ご報告 内容をご説明します。オンライン(Zoom等)でも、ご訪問でも対応します

診断の結果、部分的な手直しでは追いつかず作り直しが要ると判断した場合、いただいた診断料55,000円はBCPトータルサポートの料金に充当します。料金はサービス・料金のページをご覧ください。

書類と訓練の両方を実務で扱う事務所です

代表の身吉正光は、消防士として30年間、災害と火災の現場に立ってきました。現在は行政書士・防災士として、福岡県田川市を拠点に、福祉施設のBCP作成と防災訓練の支援を行っています。

BCPの点検は、書式を整える作業ではありません。「この体制で、夜間に地震が起きたら本当に人が集まるのか」「この連絡手段は、停電と回線の混み合うなかでつながるのか」を現場の目で見る作業です。書類だけを扱う立場でも、訓練だけを扱う立場でも、この見方には届きません。

当事務所の本業は、施設に寄り添って半年から1年かけて行う一括サポートです。作成から研修・訓練、見直しまで伴走します。診断は、その入口としてもご利用いただけます。訓練の進め方は介護施設のBCP訓練のやり方で詳しく説明しています。

よくあるご質問

他社・他士業が作成したBCPでも診断できますか

できます。むしろ、そうしたご依頼が中心です。作成者を問わず、お手元にある書類をそのまま拝見します。他社が作った書類だからと遠慮した指摘はしません。

診断だけで終わってもよいのですか

問題ありません。改善提案書には、どこをどう直すかまで書きます。ご担当者が自力で直せる内容であれば、そのまま進めていただいて構いません。作り直しをお勧めするのは、部分修正では追いつかないと判断した場合に限ります。

オンラインだけで完結しますか

できます。資料のお預かりから納品・ご報告まで、オンラインで完結します。必要に応じて、訪問での対応も検討させていただきます。

どんな資料を用意すればよいですか

  • 施設で作成したBCP(自然災害用・感染症用の両方があれば両方)
  • BCPと一緒に使っている資料があればそれも(要約版、フローチャート、掲示物など)
  • 各種様式(安否確認シート、連絡網、備蓄品リストなど)
  • 研修・訓練の実施記録(あるものだけで構いません)
  • 職員数、事業形態、事業所数がわかるもの

すべてそろっていなくても診断できます。「何があるのかも分からない」という段階でご相談ください。

ご相談ください

「作ったBCPが今のままで通用するのか分からない」「運営指導が近いので一度見てほしい」という段階で構いません。まずは施設の状況をお聞かせください。

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参考(一次情報)